表面処理の種類
特殊工程表面処理.comは、航空機・防衛分野などで化成皮膜処理、不動態化処理、陽極酸化処理、各種メッキ処理などの表面処理をお受けいたします。また、塗装、溶射、ブラストなど一貫し表面処理をお受けいたします。
|
銅めっき

非常に柔らかい金属なので、研磨しやすく、主に下地めっきとして利用されます。また、電気伝導性が良好なのでプリント配線板など電子部品にも多用されます。複雑な形状でも比較的めっきが析出しやすい特徴があります。
工業用、すなわち機能を目的とした銅めっきは、産業分野においてきわめ て重要な役割を担っている。その代表的な事例が多層プリント回路基板に不可欠のスルホールめっきである。銅ス ルホールめっきの技術がなければ、多くのマイクロデバイスやセラミック部品、電子部品は宝の持ち腐れとなり、 今日のデジタル社会は誕生していなかったはずである。
工業用銅めっきはめっき浴の種類によって、下表のように分類される。それぞれのめっき浴によって析出する皮膜物性は異なるから、使用目的に応じて的確な皮膜物性の得られるめっき浴を選定することが大切である。
各めっき浴からの析出皮膜の物性面での相違を、スルホールめっきを例にとって説明しよう。
銅スルホールめっき基板銅スルホールめっき(配線パターンはさらにハンダめっきが、端子部には金めっきがそれぞれ施されている)
銅めっきの工業利用、使用目的
銅めっき浴の種類 | 析出皮膜の特性 | 主な利用分野 | |
---|---|---|---|
酸性浴 | 硫酸銅浴 | 光沢、平滑性に優れる。 皮膜は柔かく、添加剤の改良が一段と進んだため良好な物性が得られるようになった。 | スルホールめっき 電鋳 印刷機ロール 浸炭防止 プラスチックめっき下地用 |
ホウ弗化銅浴 | 高速度めっきが可能。 皮膜の伸び率は最小。 | 電鋳 印刷機ロール | |
アルカリ浴 | シアン北満浴 | 鉄、亜鉛ダイカストに直接めっき可能。 光沢めっきは外観、平滑性良好。 | ストライクめっき用 下地めっき用(防錆) 無光沢めっきは浸炭防止や工業用厚付け |
ピロリン酸銅浴 | 均一電着性に優れ、皮膜の結晶構造は緻密。 抗張力や伸びが最も良好。 高周波電流の伝送損失も最も小さい。 | 導波管 スルホールめっき 電鋳 | |
無電解銅浴 | 不導体へのめっき可能。 形状の如何を問わず、均一な厚さが得られる。 膜厚管理が容易。 | スルホールめっき プラスチックめっき下地用 |
スルホールめっきにおける銅めっきの皮膜物性

銅スルホールめっき
多層プリント回路基板に各種のIC、LSIが搭載されることによって、高密度電子回路実装が実現されているが、そのためには実装電子部品や半導体部品から発生する多量の熱により膨張する基板の影響を受けにくい銅めっき回路が不可欠である。
つまり回路基板の熱膨張係数は銅めっきのそれより一桁大きいため、多量の発生熟によって銅めっき層のクラックや剥離、断線という重大なトラブルが生じ得る。これらのトラブルを回避するために、電気抵抗が極力小さく、伸び率の良好な、しかも基板の膨張を抑制する力(抗張力)の大きな銅めっき層が必要となる。
スルホールめっきにおける銅めっき層に要求されることは、
(1)高アスペクト比であること。
(2)均一密着性が良好なこと。
(3)めっき層の伸び率と抗張力が良好なこと。
(4)保存性が良好なこと。(ハンダめっきを施さない場合)
(5)耐擦傷性が良好なこと。
などである。
電気伝導性に関しては申すまでもなく、また接触抵抗値の小さなことも重要なポイントとなる。
銅めっきは他に、熱伝導性が極めて良好(銀の93%)であるという特性を有している。その特性を生かし、ステンレス製鍋やフライパンなどの底部(加熱部)に銅の厚付けめっきを施して、熱伝導率の著しく劣るステンレス(銀の4%)の温度分布を改善している事例もある。
またデジタル機器のプラスチック筐体では、電子回路で発生する高周波ノイズを吸収・遮蔽する電磁波シールド性能を付与するために、1~2μmの無電解銅めっきが広く利用されている。この場合、銅めっきの変色を防止するためにさらに無電解ニッケルめっきを0.1~0.2μm施している。
デジタル機器(携帯電話)では他に、銅めっきの柔軟性を利用した事例もある。近年、ガラスやカーボンを複合させたPC/ABS樹脂やPC/ASA樹脂が内蔵シャシー(LCDホルダー)に採用されているが、素材が脆くなるという欠点がある。その場合、電磁波シールド性を付与すると同時に素材の脆さをカバーするために、柔軟な硫酸銅めっきを下地めっきとして施している。また、さらにニッケルめっきを行なうことで、樹脂の強度不足を補完している事例もある。
(06版電気めっきガイド:全国鍍金工業組合連合会より)
メッキ名称 | 銅めっき |
---|---|
他の呼び名 | Cuメッキ |
対応規格 | MIL-C-14550B |
特 性 | |||||
装飾 | ○ | 熱的特性 | 耐熱性 | ||
---|---|---|---|---|---|
防錆・防食 | 熱吸収性 | ||||
耐摩擦特性 | 熱伝導性 | ||||
機械的特性 | 硬度 | 熱反射性 | |||
潤滑性 | 物理的特性 | ハンダ付け性 | ◎ | ||
寸法精度 | ボンディング性 | ◎ | |||
肉盛り性 | 多孔性 | ||||
型離れ性 | 非粘着性 | ||||
低摩擦係数 | 接着性 | ||||
二次加工性 | 密着性 | ||||
馴染 | ○ | 化学的特性 | 耐薬品性 | ||
電気的特性 | 電導性 | ◎ | 汚染防止 | ||
高周波特性 | 抗菌性 | ||||
磁性 | 耐刷性 | ||||
低接触抵抗 | その他 | 海水腐食防止 | |||
抵抗特性 | 写実・再現性 | ||||
光学的特性 | 反射防止性 | ||||
光選択吸収性 | |||||
光反射性 | |||||
耐候性 |
基 材 | |
アルミ | ○ |
---|---|
マグネシウム合金 | ○ |
SS | ○ |
SUS | ○ |
チタン | |
銅 | ○ |